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小売の待遇。嘘すぎて新卒もおっさんも騙されますよ。

2020 8/22
小売の待遇。嘘すぎて新卒もおっさんも騙されますよ。

人手不足の小売。嘘までつかないと解消されない?

小売で新卒採用している待遇を見ていると、意外に好待遇であるように見えることが多いです。

初任給は他の業種と変わらないか少し低い程度。休日日数も大手ほどではないにしても110日を

超えると提示されているところが多くみられるようになりました。

土日祝が休めない。労働時間が不規則である。という事を許容できるのであれば

小売を希望する人もいるのでしょう。

新卒という最強のカードを、そこで使ってしまう。最悪の手です。

氷河期世代のおっさんでもひっかかります。

一見、給与は高く見えても、ボーナスが低い。休日日数は多く見えても実際はとれない。

有休などとれる筈もない。自分の上長を見ていれば予測のつくことですが、外からは見えない。

どうして嘘をつくのか。人手不足がなぜ起こるのか。解説していきます。

目次

小売の待遇。嘘すぎて新卒もおっさんも騙されますよ。

人手不足の解消法が最悪

初任給だけよく見せて、実は退職金も出ないような小売業。

入社してから「騙されました…」なんて毎年聞きます。新人からも中途採用者からも。

考えても見れば、給料が安いのは当たり前です。 その原因は「小売」であることそのものです。

なぜならば、社員が出した成果以上に給料を払っていたら会社は赤字になるからです。

社員がもらえる給料は「頑張った分」よりずっと低いのです。 それが小売のシステムです。

そう考えると、「まったり高給」なんて幻想だとわかりますね。 頑張った分以上に給料を払う会社は

ありえないのです。 頑張った分より少ない給料しかもらえないのが当たり前です。

しかし現実には、高い年収を得ながら毎日楽しそうにしている本部社員もいます。 家庭を持ち、家や車も持ち、

定時で帰り、休日は子どもと遊んでいる・・・そんな本部社員はごろごろいます。 彼らは「まったり高給」

のように思えます。その社員は短時間で大金を稼いでいるのです。もちろん稼いだ分がまるまる社員に入るわけ

ではありません。 高い年収以上に会社に利益をもたらしていることには変わりありません。

それにはアイデアのセンスだったり、頭の回転の良さなど、 才能的な能力が必要になってきますが、基本的には

上役にどれほど気に入られているかによります。裁量が増えれば大きなお金を動かすので多く稼ぐのは当然です。

それだけではありません。小売には給料が安く感じる構造上の問題、 給料が上がらない仕組みがあります。

我慢して働く社畜がいるから

給料が安い最大の原因は、実は社畜にあります。 よく訓練された社畜は、ボーナスが下がろうが、給料が下がろうが、

昇給がなかろうが、 残業代や休日出勤手当がつかなかろうが文句を言いません。

それどころか「自分の給料を削ってでも会社に利益を出さなければ」という謎の使命感に満ち溢れています。

会社へのサービス精神が旺盛で、ギブアンドテイクが完全に破たんしています。 社畜はギブアンドギブ、

会社はテイクアンドテイクです。

皆はそんな意識の高い社畜を「すごいなあ」と生暖かい目で見ていますが、 実は小売の待遇を悪化させているのは

そんな意識の高い社畜なのです。

 日本社会では「自分よりも会社が第一」という態度が好まれますが、 意識の高い社畜がいなければ、

そんな社会にはなりえません。 誰かが「自分を犠牲にしてでも会社のために!」と働いたために、変な意識が

生まれてしまったのです。

経営者にとっては意識の高い社畜は都合がいいですから、重宝します。 他の社員にも同じように、意識の高い

社畜になってほしいと思うのです。

いつしか「意識の高い社畜」が当たり前になってしまい、そうでない人にも同じ扱いをするようになります。

給料を削り、サービス残業をさせ、有給休暇は取らせず、延々と働かせるのです。

店員全員がそれを拒絶して、ブラック企業を辞めれば企業も存続できませんので、ブラック企業はなくなるはず。

しかし、ブラック企業のために身を粉にして働く意識の高い社畜がいるために、 ブラック企業は生き残り、

意識の高い社畜でないと働けない社会になっていくのです。

過当競争に陥っているから

低賃金で有名な業界と言えば「介護」や「飲食」、「小売」などの「サービス業」でしょう。 給料が安く、

サービス残業やサービス休日出勤が多く、過労死もたびたび起きるほどブラック企業の多い世界です。

薄給激務とは正にこの事で、この様な労働形態に耐えうるのは、体力のある若者です。 「お客様の笑顔を見たい」

と夢を抱いてサービス業に就職した若者は、 本部や上司、客からの罵声に苦しみ、激務に苦しみ、薄給に苦しむという

三重苦を味わっている人も多いです。

なぜ小売の給料が安いのかというと、「過当競争」に陥っているからです。 小売は大きな工場は必要ありませんし、

IT技術も不要です。難しい国家資格もいりませんし、 莫大な資金が必要なわけでもありません。

簡単に始められる事業なので新規参入が相次ぎ、小売はライバルが多すぎる状態になっているのです。

客としても、味も品質も変わらないなら、安いほうの店に行きますね。基本的には小売は価格競争になります。

しかし、価格を下げるには限界があります。店の賃料、電気代、設備代、人件費など、 「最低これだけは

売らなければ赤字になる」原価があります。 原価を下回って価格競争をしようものならいずれ倒産してしまいます。

それでも価格を下げないと客が取られてしまいます。そこで、「原価を下げる」手段に出るわけです。 原価を下げる

のに一番手っ取り早いのは「給料を下げる」ことです。

給料も低い、仕事は忙しい薄給激務で、もちろん退職する若者もいます。 しかしたいていの場合、次の就職先が

見つからないためにブラック企業に残ります。 こうして薄給激務を我慢する社員ばかりが残っていき、 最終的には

「お金がなくても夢を食っていけば生きていける」などという雰囲気の会社になってしまうのです。

それが当たり前になると、 ますます給料は下がり、増えることがありません。「給料が安い」のが当たり前の業界

になってしまい、 若者も氷河期世代も低賃金でこき使われるのです。

小売の給料が安いから、人手不足になる。

小売の給料が安い理由は、「過当競争」と「日本人に”サービス”にお金を払う意識がないこと」の2つがあります。

特に小売いった典型的なサービス業は非常に給料が安く、 「人手不足」なのに給料が上がりません。

なぜなら、高い給料を払えるほど儲かっていないからです。

小売の商品はメーカーが製造します。小売の「製品」ではないのです。 例えば家電は、「街の電気屋さん」で買っても

「ヨドバシカメラ」で買っても同じ型番なら、まったく同じモノです。

すると、小売は「値引き競争」によって顧客に訴求するしかありません。 アパレルショップでは常にセールを

実施しています。家電量販店も事あるごとにセールを実施します。 スーパーは「コストコ」などのディスカウントストア

が流行し、果てはアマゾンでネット注文されます。

小売は「安いこと」だけで勝負することになってしまい、利益が出ない。 そのため給料を増やす余裕がありません。

そもそも日本人には「サービスにお金を払う」という意識がありません。 コンビニでおにぎりを買うとき、

「レジ対応してもらう料金」など考えている消費者がいるでしょうか。 むしろ「スーパーより高い」「自分で作った

ほうが安い」などと考えているのではないでしょうか。

「店員に何かをしてもらう」というサービスにお金を払っている意識がなく、 純粋に「モノ」を買っている感覚です。

「サービス残業」という言葉にも表れているように、 日本人にとって「サービス」とは「無料」を意味します。

日本人は「サービス」に価値を見出せない。これが小売が儲からず、給料が安い最大の原因だと思います。

実際に会社に利益をもたらすのは実働部隊である「平社員」です。管理職は直接利益を出すわけではありません。

その分、管理職は会社が儲かるように部下を誘導する義務があるのですが、 どう考えても「役に立っていない管理職」

がたくさんいます。これが現場に人がいないという人手不足を招いています。

小売の上役は、自分は給料を無視して働いてきましたので、平社員が高い給料をもらうのは「けしからん!」となります。 そのため平社員の給料は上がりません。人手不足は解消されません。

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