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小売の正社員は、ロスジェネ世代でもなれるのか?

2020 8/16
小売の正社員は、ロスジェネ世代でもなれるのか?

小売業ならロスジェネ世代でもすぐなれます!

小売業では働き方改革が急務となっています。その背景には、「長時間労働」「休日の少なさ」

「非正規雇用労働者の多さ」など小売業界特有の事情があるほか、2019年4月から順次施行された

「働き方改革関連法」とも密接に関わっています。

しかし、昨今の感染症流行において、採用活動を見送る企業が増えました。

もちろん、小売業だけではありませんが。

「それなら、小売業にすら就職できないんじゃないの?」

そういう事は、一切ありません。

ここでは何故、小売業であれば正社員になることができるのか解説していきます。

目次

小売の正社員は、ロスジェネ世代でもなれるのか?

深刻な小売業界の人手不足

どの業界でも人手不足・人材不足は叫ばれていますが、中でも深刻なのは小売業と言われています。

平成30年2月に農林水産省食料産業局が発表した「卸売業・小売業における働き方の現状と課題について」によると、

全産業の欠員率(未充足求人数を常用労働者数で割った数値)が2.1、食品製造業が2.5だったのに対し、

小売業は2.9と高い数値となっています。

また、株式会社帝国データバンクが2018年7月に発表した「人手不足に対する企業の動向調査」がこちらです。

正社員が不足していると答えた企業が全産業で半数を超えましたが、小売業に当てはまるのは5位の「家電・情報機器小売」

だけとなっています。一方で、非正規社員が不足していると答えた上位10業種のうち4業種が小売業となっていることが

わかります。

<出典:農林水産省「卸売業・小売業における働き方の現状と課題について」>
<出典:株式会社帝国データバンク「人手不足に対する企業の動向調査」>

小売業で人手不足が続く理由

小売業は最終消費者に販売する事業ですので、スーパーやコンビニ、ホームセンターを筆頭に、衣料品や日用品、家具、

家電など幅広い業態があります。小売業の勤務で共通していることとして、「長時間労働」「休日が少ない」「低賃金」

などを挙げることができます。

生産年齢人口が減少する日本で、従業員の離職や採用難が続くと最悪の場合、「人手不足倒産」になることも考えられます。

事実、2019年1月に株式会社帝国データバンクが発表した「人手不足倒産の動向調査」によると、2018年の小売業の

「人手不足倒産」は16件で建設業、サービス業、運輸・通信業に次ぐ4位の結果でしたが、前年比増減では約1.8倍で、

全産業の中でワーストとなりました。

労働環境の改善は小売業にとって喫緊の課題です。さらに2019年4月から順次施行された「働き方改革関連法」にも

対応すべき項目が多く存在します。

<出典:株式会社帝国データバンク「人手不足倒産の動向調査」>

小売業は労働時間が長く、休日が少ない

小売業は他産業よりも長時間労働が慢性化していると言われます。厚生労働省の下記のデータ「産業別月間実労働時間数」

で確認してみましょう。

<出典:厚生労働省「平成28年賃金構造基本統計調査」>

小売業は、全産業よりも少しだけ労働時間が長い結果となっていますが、飲食料品小売業は突出して労働時間が

長いことがわかります。また下記の「年次有給休暇の取得状況」を見てみると、「卸売業、小売業」は取得日数、

取得率ともに「宿泊業、飲食サービス業」に次いで低いワースト2位となっています。全産業を平均した「取得日数」

は9.0日。「取得率」が49.4%となっているので、他産業と比較しても小売業は、休みが取りにくいのが現状です。

長時間労働が慢性化し、休日が取りにくい状態だとワーク・ライフ・バランスの確保も難しく、昨今の労働者のニーズとも

合致しません。また「働き方改革関連法」の「年次有給休暇の取得義務」「時間外労働の上限規制」「月60時間以上の

割増賃金」に抵触する恐れがあります。

特に「年次有給休暇の取得義務」は、正規雇用だけではなくアルバイト、パートなどの非正規雇用労働者も

付与する対象となりました。アルバイトやパートなどの非正規雇用に関しては、次の項で詳しく説明します。

小売業は非正規雇用の割合が高い

厚生労働省の平成29年度のデータによると、全従業員に対する非正規雇用労働者の割合は37.3%で、その数は

約2,036万人に及びます。つまり3人に1人は非正規雇用労働者だというのが現在の日本の現状ですが、

産業別で見るとさらに小売業の厳しい現実が理解できます。

厚生労働省「非正規雇用の現状」によると、「卸売業、小売業」の非正規雇用労働者の割合は47.2%。こちらも

「宿泊業、飲食サービス業」の69.2%に次いでワースト2位となっています。

<参照:厚生労働省「非正規雇用の現状」>

すぐに離職してしまう

離職率の高い業界はたくさんありますが、実は小売業界もそうです。平成26年における厚生労働省のデータによると、

小売業の離職率は38.6%となっています。

採用した人材がすぐに辞めてしまうと、それまでに費やしたコストや時間がすべてムダになってしまいます。

またすぐに新たな人材を探す必要があり、しかもまた同じように教育をしなくてはなりません。

企業の人事はもちろんですが、現場の人間としても頭の痛い問題といえるでしょう。

つまり、総合的に労働条件がよくないのが小売業界の実態

小売店は長時間労働になることが多い傾向にあります。そのため、体力的にきついからやりたくない、という人は

決して少なくありません。多くの場合は立ち仕事となるため、長時間立ったまま接客などの業務に携わっていると、

足腰に負担もかかります。

また、土日祝日などに休めないのも人材が集まりにくい大きな理由といえるでしょう。土日や祝日は多くの集客が

期待できるため、営業するお店は少なくありません。土日や祝日などに休めないとなると、友人や家族との予定も

合わせにくくなり、プライベートを充実させることも難しくなります。これも、小売業界が人材不足になる背景の

一つと考えられます。

土日祝日が出勤な上に職場での拘束時間が長いとなると、それだけで敬遠されやすくなるでしょう。

しかし、それでも給与が高ければまだ魅力は感じます。ネガティブな部分を補ってあまりあるほどの給与がもらえるのなら、

人材も集まるでしょう。しかし、実際には小売業界はそこまで給与の高い業界とはいえません

つまり、総合的に労働条件がよくないのが小売業界の実態です。誰もが少しでも条件のよいところで働きたいと

考えているので、そういう意味ではこの業界は人気が低く、敬遠されやすいといえます。

人が集まらないがゆえに、ロスジェネ世代でも必要となるのが小売なのです。

どうしようもなくなったら、小売業に就職希望するのも手段の一つです。

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