現在のコロナ禍において、すでに早期退職やリストラが一気に加速化しています。
東京商工リサーチの調べによると、今年1~3月に早期・希望退職者を募集した上場企業は23社。
前年同期比のほぼ倍で、今後のさらなる悪化は避けられそうにありません。
総務省によると、4月に600万人近くまで膨らんだ休業者の約7%が5月に職を失ったようです。
こんな中、国は財政悪化を理由に消費増税を視野に入れ始めました。
「消費税増税を中核に据えた、骨太の議論が必要ではないか」
「次世代の負担を増やさないため、どういう税収確保が望ましいか議論する必要がある」
政府税制調査会(首相の諮問機関)は5日、ウェブ会議方式の総会でこの様な指摘をしました。
金銭的に余裕のない世帯を直撃する「消費税」。
国民が豊かな状態にあり、物価が上がり続けている状況であれば、これは有効な手段でしょう。
なぜ今、こういった議論がなされるのでしょうか?
2月の1.45倍、3月の1.39倍から大幅な下落が続いており、「人手不足による求人難」から
一気に「求職難」へと状況が一変し始めています。
貧困層が増加の一途をたどる中で、国は何を考えているのでしょう。
政府税制調査会とは一体どういう組織?
政府税制調査会は、内閣総理大臣の諮問に応じて、租税制度に関する基本的事項を調査審議する、
政府にあるさまざまな審議会の中のひとつです。
有識者による審議会として、政府に意見する立場にはあるようですが、
現在は、それほど大きな影響力を持っているとは考えにくい組織でもあります。
政府税制調査会が「消費増税するべき!」という意見を出していても
それが有効に働くかといえば、そうでもなさそうです。
消費増税はいつになるの?
安倍首相は3月の国会答弁で、コロナ対策について「自民党の若手有志から、消費税について思い切った
対策を採るべきだという提言も出ている。経済への影響が相当あるため、十分な政策を間髪を入れずに講じていきたい」
と語っていました。
安倍首相は、麻生太郎財務相と会食などの際にこまめに相談し、早期の衆院解散を進言している麻生氏は
「消費減税なら解散総選挙の大義名分になる」と指摘しているとのこと。
消費増税よりは減税のほうが可能性はありそうです。
ただ、「経済再生と財政健全化の両立をはかり、2025年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化、
同時に債務残高対国内総生産(GDP)比の安定的な引き下げを目指していく」
という、目標は依然として掲げているため、これを強引に達成しようとすれば、
コロナ禍が収まり次第、即増税
は、大いにあり得るでしょう。
国会を開かない首相の動向に、今後も注意が必要です。
国が「プライマリーバランス」という言葉を放棄しない限り、増税する以外方法はありません。2025年までに。